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バローロの伝統を頑なに守り続ける小さなワイナリー

本日のワイナリー見学は「バルトロ・マバローロはスカレッロ」。

仕事柄バローロにはよく訪れますが、このワイナリーは初めての訪問となります。

 

1900年代初頭開業のワイナリー。創始者であるバルトロさんは当初バローロ生産者組合のリーダーでした。

 

現在はそのお嬢さんにあたるマリアテレサさんが経営されています。

このワイナリーの特徴は一言でいうと伝統的な小規模経営!

戦略的営業なども一切せず、WEBサイトすらないワイナリーです。

 

見学予約の時間より30分前に到着した私たちですが、インタ―ホンを押すと

「先客に応対中ですので、予約時間にもう一度お戻りください」

ということ…

この日は生憎の雨。村散歩というわけにもいかず、近所のバールで時間を潰すことにしました。

 

ようやく約束の時間。再びインターホンを押すとドアが開きました。

「どうぞ」とまるでどこかの自宅に招き入れられるような感じです。

中はオフィスとして機能しています。その前にテイスティング用のテーブルが一つ置かれているだけのワンルーム。本当に小さなワイナリーなんですね。

 

テーブルに座ってまずバルトロ・マスカレッロのワイナリーについての歴史とワインについてのポリシーをしっかりとレクチャーしてもらいました。

バローロ界の「ラスト・モヒカン」と称されるバルトロ・マスカレッロの方針は

「古き良き時代のバローロを引継いでいく」こと。

時代と共に多くの改良がくわえられたバローロに背を向け、伝統を守り続けています。

事務所横の小さな中庭を抜けてワインが生産される場所へ。経営者のマリアテレサさんはこちらにお住まいなんだそうです。まさに家族経営の典型ですね。

発酵用のセメント樽。現在も使われています。
発酵用のセメント樽。現在も使われています。
事務所のある中庭横から地下におりると、そこが生産が行われる場所。想像したよりも小さなスペースです。
事務所のある中庭横から地下におりると、そこが生産が行われる場所。想像したよりも小さなスペースです。
大きな樽の中ではバローロがじっくりと熟成中。これがあの1本3万円くらいするワインになるのか と思うと感動です。
大きな樽の中ではバローロがじっくりと熟成中。これがあの1本3万円くらいするワインになるのか と思うと感動です。

クリュを作らず、フランス製バリックも使用しない という昔ながらのバローロの生産法を死守し続けるバルトロ・マスカレッロ社。各々の畑で収穫されたブドウをブレンドしてスラボニア製の大樽で熟成させるシンプルな手法は、。バローロに対する大きな情熱を感じさせられる反面、商戦ラインに乗り遅れるという問題に直面します。

経営者のテレサさんは

「経営拡大は一切考えていません。父が死守したバローロの伝統をこれからも伝えていくことが私の使命であり、ここにいる数少ないスタッフみんながそれに賞賛し伝統的なバローロ作りに情熱をささげてくれています。それがわが社のかけがえのない財産です。」

事実、生産量が少ない伝統的なバローロは世界各国からの愛好家から強く支持されているそうで、現在もすでに20年以上先のワインまで予約が入っているんだそうです。

情熱と愛情が一杯詰まったバルトロ・マスカレッロのワイン、そのワイナリー見学は土に生きる素朴さと伝統を守り続ける確固とした意思を強く感じ取ることができました。